非上場株式の評価㊱-その他資本剰余金配当により生じるみなし配当金額を「1株当たりの配当金額」の計算で配当金額から除いていないか?

Q 「1株当たりの配当金額」の計算上、その他資本剰余金配当により生じたみなし配当金額を、配当金額に含める必要がありますか?

A その他資本剰余金配当は会社法上の配当であるため、みなし配当分(利益積立金額の減少分)は配当に含めます。ただし、資本の払戻し分(資本金等の額の減少分)は配当に含めません。

解説
その他資本剰余金配当により、法人税法第24条の規定によるみなし配当が生じた場合、類似業種比準方式による「1株当たりの配当金額」の計算の際、みなし配当分(利益積立金額の減少分)は配当金額に含めます。
一方で、資本の払戻し分(資本金等の額の減少分)は配当金額から除外します(財産評価基本通達183(注)1)。

「第4表 類似業種比準価額等の計算明細書」の「年配当金額」欄に、「資本の払戻し分(資本金等の額の減少分)」を控除後の金額を記載することになります。

配当還元方式の計算においても、同様の取扱いとなります(財産評価基本通達183(1)、188−2)。

 

財産評価基本通達183(注)1(評価会社の1株当たりの配当金額等の計算)

(1)「1株当たりの配当金額」は、直前期末以前2年間におけるその会社の剰余金の配当金額(特別配当、記念配当等の名称による配当金額のうち、将来毎期継続することが予想できない金額を除く。)の合計額の2分の1に相当する金額を、直前期末における発行済株式数(1株当たりの資本金等の額が50円以外の金額である場合には、直前期末における資本金等の額を50円で除して計算した数によるものとする。(2)及び(3)において同じ。)で除して計算した金額とする。

(注)1 上記(1)の「剰余金の配当金額」は、各事業年度中に配当金交付の効力が発生した剰余金の配当金額(資本金等の額の減少によるものを除く。)を基として計算することに留意する。

 

財産評価基本通達188−2(同族株主以外の株主等が取得した株式の評価)
188-2 前項の株式の価額は、その株式に係る年配当金額(183≪評価会社の1株当たりの配当金額等の計算≫の(1)に定める1株当たりの配当金額をいう。ただし、その金額が2円50銭未満のもの及び無配のものにあっては2円50銭とする。)を基として、次の算式により計算した金額によって評価する。ただし、その金額がその株式を179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより評価するものとして計算した金額を超える場合には、179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより計算した金額によって評価する。(昭58直評5外追加、平12課評2-4外・平18課評2-27外改正)
(その株式に係る年配当金額)÷10%×(その株式の1株当たりの資本金等の額)÷50円
(注) 上記算式の「その株式に係る年配当金額」は1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額であるので、算式中において、評価会社の直前期末における1株当たりの資本金等の額の50円に対する倍数を乗じて評価額を計算することとしていることに留意する。

 

法人税法第24条(配当等の額とみなす金額)
第二十四条 法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この条において同じ。)の株主等である内国法人が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額)の合計額が当該法人の資本金等の額又は連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額は、第二十三条第一項第一号又は第二号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなす。
一 合併(適格合併を除く。)
二 分割型分割(適格分割型分割を除く。)
三 株式分配(適格株式分配を除く。)
四 資本の払戻し(剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)のうち分割型分割によるもの及び株式分配以外のもの並びに出資等減少分配をいう。)又は解散による残余財産の分配
五 自己の株式又は出資の取得(金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得及び第六十一条の二第十四項第一号から第三号まで(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に掲げる株式又は出資の同項に規定する場合に該当する場合における取得を除く。)
六 出資の消却(取得した出資について行うものを除く。)、出資の払戻し、社員その他法人の出資者の退社又は脱退による持分の払戻しその他株式又は出資をその発行した法人が取得することなく消滅させること。
七 組織変更(当該組織変更に際して当該組織変更をした法人の株式又は出資以外の資産を交付したものに限る。)
2 合併法人が抱合株式(当該合併法人が合併の直前に有していた被合併法人の株式(出資を含む。以下この項及び次項において同じ。)又は被合併法人が当該合併の直前に有していた他の被合併法人の株式をいう。)に対し当該合併による株式その他の資産の交付をしなかつた場合においても、政令で定めるところにより当該合併法人が当該株式その他の資産の交付を受けたものとみなして、前項の規定を適用する。
3 合併法人又は分割法人が被合併法人の株主等又は当該分割法人の株主等に対し合併又は分割型分割により株式その他の資産の交付をしなかつた場合においても、当該合併又は分割型分割が合併法人又は分割承継法人の株式の交付が省略されたと認められる合併又は分割型分割として政令で定めるものに該当するときは、政令で定めるところによりこれらの株主等が当該合併法人又は分割承継法人の株式の交付を受けたものとみなして、第一項の規定を適用する。
4 第一項に規定する株式又は出資に対応する部分の金額の計算の方法その他前三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。