非上場株式の評価㊳-その他資本剰余金配当の受取により生じたみなし配当金額を「1株当たりの利益金額」の計算で非経常的な利益としていないか?

Q 類似業種比準方式における「1株当たりの利益金額」の計算上、その他資本剰余金を原資とする配当により生じたみなし配当の金額について、調整が必要であれば教えてくれますか?

A その他資本剰余金配当によるみなし配当部分は、税務上は利益配当ですので、毎期受取配当金を計上している会社であれば、非経常的な利益には該当せず、特段の調整は生じません。

解説
その他資本剰余金を原資とした剰余金の配当を受けとった側の法人の税務処理上、資本金等の額の減少部分に対応する金額が株式の譲渡対価の額とされ、利益積立金額の減少部分に対応する金額が受取配当金(みなし配当金額)とされます。

その他資本剰余金配当は会社法上の配当であり、みなし配当金額は通常の利益剰余金配当と同様の性質を有しています。そのため、配当を受け取った法人側の株式評価にあたり、類似業種比準方式による「1株当たりの利益金額」の計算上、みなし配当金額を非経常的な利益とはしません(毎期配当を受けていない会社が、たまたま配当を受け取ったような場合は、非経常的な利利益となります)。

一方で、資本の払戻し分に対応して行われる取得原価の調整によるみなし譲渡損益は、非経常的な利益の計算に含めます。