非上場株式の評価㊵-構築物を定率法で再計算せずに評価していないか?

Q 純資産価額方式の計算上、構築物を評価する際の留意点について教えてくれますか?

A 構築物の評価は定率法で計算します。平成28年4月1日以降取得の構築物は、必ず定額法で計算されていますので、定率法で再計算する必要があります。

解説
構築物(家屋と一体とならない建物附属設備も含む)は、定率法で償却後の残存簿価の70%を財産評価額とします(財産評価基本通達97、92)。
平成28年4月1日以降に取得した構築物は、税制改正により以前までの定率法の選択余地はなくなり、必ず定額法で計算されていますので、財産評価を行う際には、定率法で再計算する必要があります(法人税法施行令第13条第1項第1号2号、法人税法施行令第48条の2第1項第1号ロ)。

 

財産評価基本通達97(評価の方式)

構築物の価額は、その構築物の再建築価額から、建築の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額の100分の70に相当する金額によって評価する。この場合における償却方法は、定率法によるものとし、その耐用年数は耐用年数省令に規定する耐用年数による。(昭41直資3-19・平20課評2-5外改正)

 

財産評価基本通達92(附属設備等の評価)

附属設備等の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。 (平16課評2-7外・平20課評2-5外・令2課評2-21外改正)

(1) 家屋と構造上一体となっている設備
家屋の所有者が有する電気設備(ネオンサイン、投光器、スポットライト、電話機、電話交換機およびタイムレコーダー等を除く。)、ガス設備、衛生設備、給排水設備、温湿度調整設備、消火設備、避雷針設備、昇降設備、じんかい処理設備等で、その家屋に取り付けられ、その家屋と構造上一体となっているものについては、その家屋の価額に含めて評価する。

(2) 門、塀等の設備
門、塀、外井戸、屋外じんかい処理設備等の附属設備の価額は、その附属設備の再建築価額から、建築の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額の100分の70に相当する金額によって評価する。この場合における償却方法は、定率法(所得税法施行令第120条の2第1項第1号イ(2)又は法人税法施行令第48条の2第1項第1号イ(2)に規定する定率法をいう。以下同じ。)によるものとし、その耐用年数は減価償却資産の耐用年数等に関する省令(以下「耐用年数省令」という。)に規定する耐用年数による。

(3) 庭園設備
庭園設備(庭木、庭石、あずまや、庭池等をいう。)の価額は、その庭園設備の調達価額(課税時期においてその財産をその財産の現況により取得する場合の価額をいう。以下同じ。)の100分の70に相当する価額によって評価する。

 

法人税法施行令第13条第1項第1号2号(減価償却資産の範囲)

第十三条 法第二条第二十三号(定義)に規定する政令で定める資産は、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次に掲げるもの(事業の用に供していないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを除く。)とする。
一 建物及びその附属設備(暖冷房設備、照明設備、通風設備、昇降機その他建物に附属する設備をいう。)
二 構築物(ドック、橋、岸壁、桟橋、軌道、貯水池、坑道、煙突その他土地に定着する土木設備又は工作物をいう。)

 

法人税法施行令第48条の2第1項第1号ロ

第四十八条の二 平成十九年四月一日以後に取得をされた減価償却資産(第六号に掲げる減価償却資産にあつては、当該減価償却資産についての所有権移転外リース取引に係る契約が平成二十年四月一日以後に締結されたもの)の償却限度額の計算上選定をすることができる法第三十一条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する政令で定める償却の方法は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める方法とする。
一 第十三条第一号及び第二号(減価償却資産の範囲)に掲げる減価償却資産(第三号及び第六号に掲げるものを除く。) 次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める方法
イ 平成二十八年三月三十一日以前に取得をされた減価償却資産(建物を除く。) 次に掲げる方法
(1) 定額法(当該減価償却資産の取得価額にその償却費が毎年同一となるように当該資産の耐用年数に応じた償却率((2)において「定額法償却率」という。)を乗じて計算した金額を各事業年度の償却限度額として償却する方法をいう。以下この目及び第七目(減価償却資産の償却限度額等)において同じ。)
(2) 定率法(当該減価償却資産の取得価額(既にした償却の額で各事業年度の所得の金額又は各連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入された金額がある場合には、当該金額を控除した金額)にその償却費が毎年一から定額法償却率に二(平成二十四年三月三十一日以前に取得をされた減価償却資産にあつては、二・五)を乗じて計算した割合を控除した割合で逓減するように当該資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した金額(当該計算した金額が償却保証額に満たない場合には、改定取得価額にその償却費がその後毎年同一となるように当該資産の耐用年数に応じた改定償却率を乗じて計算した金額)を各事業年度の償却限度額として償却する方法をいう。以下第七目までにおいて同じ。)
ロ イに掲げる減価償却資産以外の減価償却資産 定額法