非上場株式の評価㊷-賃借物件への造作について評価上の留意点を見逃していないか?
Q 純資産価額方式の計算上、賃借物件に造作をした場合の評価上の留意点について教えてくれますか?
A 賃貸借契約書を確認し、有益費償還請求権があれば契約書上の返還金額で評価します(金額の定めがなければ建物附属設備として評価します)。他方で、有益費償還請求権がなければ評価対象外となります。
解説
賃貸借契約書に賃貸人の造作にかかる有益費の償還請求権が定められている場合には、財産評価の対象になります。契約書に定められている返還金額があればその金額、不明の場合は、家屋と一体とならない建物附属設備もとして、定率法で償却後の残存簿価の70%を財産評価額とします(財産評価基本通達92)。
ただし、有益費償還請求権を放棄する特約がある場合には、財産評価の対象にはなりません(平成2年1月22日裁決事例(TAINSコード:J39-4-02))。
財産評価基本通達92(附属設備等の評価)
附属設備等の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。 (平16課評2-7外・平20課評2-5外・令2課評2-21外改正)
(1) 家屋と構造上一体となっている設備
家屋の所有者が有する電気設備(ネオンサイン、投光器、スポットライト、電話機、電話交換機およびタイムレコーダー等を除く。)、ガス設備、衛生設備、給排水設備、温湿度調整設備、消火設備、避雷針設備、昇降設備、じんかい処理設備等で、その家屋に取り付けられ、その家屋と構造上一体となっているものについては、その家屋の価額に含めて評価する。
(2) 門、塀等の設備
門、塀、外井戸、屋外じんかい処理設備等の附属設備の価額は、その附属設備の再建築価額から、建築の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額の100分の70に相当する金額によって評価する。この場合における償却方法は、定率法(所得税法施行令第120条の2第1項第1号イ(2)又は法人税法施行令第48条の2第1項第1号イ(2)に規定する定率法をいう。以下同じ。)によるものとし、その耐用年数は減価償却資産の耐用年数等に関する省令(以下「耐用年数省令」という。)に規定する耐用年数による。
(3) 庭園設備
庭園設備(庭木、庭石、あずまや、庭池等をいう。)の価額は、その庭園設備の調達価額(課税時期においてその財産をその財産の現況により取得する場合の価額をいう。以下同じ。)の100分の70に相当する価額によって評価する。