非上場株式の評価㊽-事業所税を負債に計上して純資産を計算できる点を見逃していないか?
Q 純資産価額方式の計算上、事業所税を負債に計上できますか?
A できます。
解説
事業所税などの申告納税方式による租税について、法人税の所得計算においては、納税申告書を提出した事業年度に損金算入ができます。
したがって、事業所税を未払計上したとしても、損金算入はできません(損金不算入とすれば負債に計上できるともいえます)。
損金算入のタイミングは、あくまでも法人税法上の所得計算の取扱いです。
事業所税は課税標準の算定期間の末日における事業所床面積、算定期間中に支払われた従業者給与総額で決定され、評価対象会社は納税義務を負うことが確定していますので(地方税第701条の40)、株式評価(財産評価)の観点からは、未払事業所税を負債に計上して純資産を計算することに問題はないと考えます。
地方税第701条の40(事業所税の課税標準)
第七百一条の四十 事業所税の課税標準は、資産割にあつては、課税標準の算定期間の末日現在における事業所床面積(当該課税標準の算定期間の月数が十二月に満たない場合には、当該事業所床面積を十二で除して得た面積に当該課税標準の算定期間の月数を乗じて得た面積。次項において同じ。)とし、従業者割にあつては、課税標準の算定期間中に支払われた従業者給与総額とする。
2 次の各号に掲げる事業所等において行う事業に対して課する資産割の課税標準は、前項の規定にかかわらず、それぞれ当該各号に定める面積とする。
一 課税標準の算定期間の中途において新設された事業所等(第三号の事業所等を除く。) 当該課税標準の算定期間の末日における事業所床面積に当該新設の日の属する月の翌月から当該課税標準の算定期間の末日の属する月までの月数の当該課税標準の算定期間の月数に対する割合を乗じて得た面積
二 課税標準の算定期間の中途において廃止された事業所等(次号の事業所等を除く。) 当該廃止の日における事業所床面積に当該課税標準の算定期間の開始の日の属する月から当該廃止の日の属する月までの月数の当該課税標準の算定期間の月数に対する割合を乗じて得た面積
三 課税標準の算定期間の中途において新設された事業所等で当該課税標準の算定期間の中途において廃止されたもの 当該廃止の日における事業所床面積に当該新設の日の属する月の翌月から当該廃止の日の属する月までの月数の当該課税標準の算定期間の月数に対する割合を乗じて得た面積
3 前二項の課税標準の算定期間の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
国税庁HP タックスアンサー No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5300.htm