非上場株式の評価㊿-デリバティブ評価損が生じていた場合に、負債として計上できない点を見逃していないか?
Q 純資産価額方式の計算上、デリバティブ評価損が生じていた場合に、負債として計上できますか?
A できません。
解説
デリバティブ負債は法人税法上の取扱いに基づくみなし決済から生じたものであり、現実の決済は何ら行われておらず、いわば計算上の負債に過ぎないものと認められることから、純資産価額計算上、負債として計上して控除することはできません(東京国税局課税第一部 資産課税課 資産評価官「資産税審理研修資料」平成22年12月作成)。
なお、デリバティブ資産が生じていた場合にも、同様の理由から純資産価額計算上の資産として計上しません。
※デリバティブ負債
決算期末に法人税法第61条の5(デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等)の規定によりみなし決済を行い、デリバティブ評価損が計上された場合、損金の額は、法人税申告書別表四の処理上「減算・留保」となることから、税務上の貸借対照表に相当する別表五(一)の処理上「デリバティブ負債」が計上されることとなります。
財産評価基本通達183(3)(評価会社の1株当たりの配当金額等の計算)
183 180≪類似業種比準価額≫の評価会社の「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、それぞれ次による。(昭44直資3-20・昭53直評5外・昭58直評5外・平12課評2-4外・平15課評2-15外・平18課評2-27外改正)
(1) 「1株当たりの配当金額」は、直前期末以前2年間におけるその会社の剰余金の配当金額(特別配当、記念配当等の名称による配当金額のうち、将来毎期継続することが予想できない金額を除く。)の合計額の2分の1に相当する金額を、直前期末における発行済株式数(1株当たりの資本金等の額が50円以外の金額である場合には、直前期末における資本金等の額を50円で除して計算した数によるものとする。(2)及び(3)において同じ。)で除して計算した金額とする。
(2) 「1株当たりの利益金額」は、直前期末以前1年間における法人税の課税所得金額(固定資産売却益、保険差益等の非経常的な利益の金額を除く。)に、その所得の計算上益金に算入されなかった剰余金の配当(資本金等の額の減少によるものを除く。)等の金額(所得税額に相当する金額を除く。)及び損金に算入された繰越欠損金の控除額を加算した金額(その金額が負数のときは、0とする。)を、直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とする。ただし、納税義務者の選択により、直前期末以前2年間の各事業年度について、それぞれ法人税の課税所得金額を基とし上記に準じて計算した金額の合計額(その合計額が負数のときは、0とする。)の2分の1に相当する金額を直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とすることができる。
(3) 「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、直前期末における資本金等の額及び法人税法第2条((定義))第18号に規定する利益積立金額に相当する金額(法人税申告書別表五(一)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」の差引翌期首現在利益積立金額の差引合計額)の合計額を直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とする。
(注)
1 上記(1)の「剰余金の配当金額」は、各事業年度中に配当金交付の効力が発生した剰余金の配当金額(資本金等の額の減少によるものを除く。)を基として計算することに留意する。
2 利益積立金額に相当する金額が負数である場合には、その負数に相当する金額を資本金等の額から控除するものとし、その控除後の金額が負数となる場合には、その控除後の金額を0とするのであるから留意する。
第六十一条の五 内国法人がデリバティブ取引(金利、通貨の価格、商品の価格その他の指標の数値としてあらかじめ当事者間で約定された数値と将来の一定の時期における現実の当該指標の数値との差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引又はこれに類似する取引であつて、財務省令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)を行つた場合において、当該デリバティブ取引のうち事業年度終了の時において決済されていないもの(第六十一条の八第二項(先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算)の規定の適用を受ける場合における同項に規定する先物外国為替契約等に基づくものその他財務省令で定める取引(次項において「為替予約取引等」という。)を除く。以下この項において「未決済デリバティブ取引」という。)があるときは、その時において当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額又は損失の額に相当する金額(次項において「みなし決済損益額」という。)は、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。