非上場株式の財産評価基本通達解説⑧-同族株主とは異なり、中心的な同族株主は「その株主」をいう点を見逃していないか?
Q 中心的な同族株主の判定について、留意点があれば教えてくれますか?
A 同族株主は「その株主及びその同族関係者」をいいます。中心的な同族株主は「その株主」をいいます。
解説
「同族株主」とは、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が、議決権総数の30%以上である場合における「その株主及びその同族関係者」をいいます(なお、議決権割合が50%超となる株主グループがある場合は、そのグループ以外のグループが30%以上の議決権割合を有していたとしても同族株主には該当しません。)。(財産評価基本通達188(1))
一方で、「中心的な同族株主」とは、同族株主の1人並びにその株主の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である場合における「その株主」をいいます(上記の者の同族関係者である会社のうち、これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である会社を含みます。)。(財産評価基本通達188(2))
同族株主は「その株主及びその同族関係者」ですので、同族関係者が含まれます。中心的な同族株主は「その株主」をいいますので、株主ごとに判定します。
したがって、自身を中心に判定して中心的な同族株主に該当しなければ、中心的な同族株主に該当することはありません。
財産評価基本通達188(同族株主以外の株主等が取得した株式)
188 178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫の「同族株主以外の株主等が取得した株式」は、次のいずれかに該当する株式をいい、その株式の価額は、次項の定めによる。(昭47直資3-16・昭53直評5外・昭58直評5外・平15課評2-15外・平18課評2-27外改正)
(1) 同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主の取得した株式
この場合における「同族株主」とは、課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者(法人税法施行令第4条((同族関係者の範囲))に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいう。以下同じ。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30%以上(その評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の50%超である会社にあっては、50%超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう。
(2) 中心的な同族株主のいる会社の株主のうち、中心的な同族株主以外の同族株主で、その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるもの(課税時期において評価会社の役員(社長、理事長並びに法人税法施行令第71条第1項第1号、第2号及び第4号に掲げる者をいう。以下この項において同じ。)である者及び課税時期の翌日から法定申告期限までの間に役員となる者を除く。)の取得した株式
この場合における「中心的な同族株主」とは、課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち、これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である会社を含む。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である場合におけるその株主をいう。
(3) 同族株主のいない会社の株主のうち、課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の15%未満である場合におけるその株主の取得した株式
(4) 中心的な株主がおり、かつ、同族株主のいない会社の株主のうち、課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の15%以上である場合におけるその株主で、その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるもの((2)の役員である者及び役員となる者を除く。)の取得した株式
この場合における「中心的な株主」とは、課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の15%以上である株主グループのうち、いずれかのグループに単独でその会社の議決権総数の10%以上の議決権を有している株主がいる場合におけるその株主をいう。