非上場株式の財産評価基本通達解説⑨-配当還元価額は組織再編があった場合に急上昇する可能性がある点を見逃していないか?
Q 組織再編(株式移転、株式交換)が行われた場合の配当還元価額について留意点があれば教えてくれますか?
A 配当還元価額が急上昇する可能性があります。
解説
配当還元方式の計算は、1株(50円)当たりの年配当金額が2円50銭未満となる場合にも、2円50銭として計算する必要があります(財産評価基本通達188-2注)。
上記規定があるため、株主が50人以上いる会社が株式移転や株式交換を行った場合には、親会社の資本金等の額が子会社の簿価純資産価額により計上される結果、「1株当たり資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数」が急増し、配当金額(2年平均)を発行済株式数で除すことにより、1株(50円)当たりの年配当金額が2円50銭未満となってしまいます。
この場合にも、1株(50円)当たりの年配当金額を2円50銭として計算する必要があり、結果として、配当還元価額が急上昇する可能性があります。
財産評価基本通達188−2(同族株主以外の株主等が取得した株式の評価)
188-2 前項の株式の価額は、その株式に係る年配当金額(183≪評価会社の1株当たりの配当金額等の計算≫の(1)に定める1株当たりの配当金額をいう。ただし、その金額が2円50銭未満のもの及び無配のものにあっては2円50銭とする。)を基として、次の算式により計算した金額によって評価する。ただし、その金額がその株式を179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより評価するものとして計算した金額を超える場合には、179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより計算した金額によって評価する。(昭58直評5外追加、平12課評2-4外・平18課評2-27外改正)
(注) 上記算式の「その株式に係る年配当金額」は1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額であるので、算式中において、評価会社の直前期末における1株当たりの資本金等の額の50円に対する倍数を乗じて評価額を計算することとしていることに留意する。