非上場株式の財産評価基本通達解説⑯-開業後3年未満の会社について設立後ではない点を見逃していないか?
Q 開業後3年未満の会社について留意点があれば教えてくれますか?
A 「設立後」3年未満の会社ではないため、設立後に事業を行っていない会社は3年後であっても該当します。
解説
課税時期において開業後3年未満である会社は、比準要素0の会社と同様に考え、類似業種比準価額を適用する合理性がないことから、純資産価額で評価することになります(財産評価基本通達189(4)、189−4)。
会社設立後ではなく、開業後である点に留意が必要です。
財産評価基本通達189 (特定の評価会社の株式)
189 178((取引相場のない株式の評価上の区分))の「特定の評価会社の株式」とは、評価会社の資産の保有状況、営業の状態等に応じて定めた次に掲げる評価会社の株式をいい、その株式の価額は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。
なお、評価会社が、次の(2)又は(3)に該当する評価会社かどうかを判定する場合において、課税時期前において合理的な理由もなく評価会社の資産構成に変動があり、その変動が次の(2)又は(3)に該当する評価会社と判定されることを免れるためのものと認められるときは、その変動はなかったものとして当該判定を行うものとする。(昭58直評5外・平2直評12外・平6課評2-8外・平12課評2-4外・平15課評2-15外・平25課評2-20外・平29課評2-12外・平29課評2-46外改正)
(1) 比準要素数1の会社の株式
183((評価会社の1株当たりの配当金額等の計算))の(1)、(2)及び(3)に定める「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」のそれぞれの金額のうち、いずれか2が0であり、かつ、直前々期末を基準にして同項の定めに準じそれぞれの金額を計算した場合に、それぞれの金額のうち、いずれか2以上が0である評価会社(次の(2)から(6)に該当するものを除く。以下「比準要素数1の会社」という。)の株式の価額は、次項の定めによる。
(注) 配当金額及び利益金額については、直前期末以前3年間の実績を反映して判定することになるのであるから留意する。
(2) 株式等保有特定会社の株式
課税時期において評価会社の有する各資産をこの通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式、出資及び新株予約権付社債(会社法第2条((定義))第22号に規定する新株予約権付社債をいう。)(189-3((株式等保有特定会社の株式の評価))において、これらを「株式等」という。)の価額の合計額(189-3((株式等保有特定会社の株式の評価))において「株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)」という。)の割合が50%以上である評価会社(次の(3)から(6)までのいずれかに該当するものを除く。以下「株式等保有特定会社」という。)の株式の価額は、189-3((株式等保有特定会社の株式の評価))の定めによる。
(3) 土地保有特定会社の株式
課税時期において、次のいずれかに該当する会社(次の(4)から(6)までのいずれかに該当するものを除く。以下「土地保有特定会社」という。)の株式の価額は、189-4((土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価))の定めによる。
イ 178((取引相場のない株式の評価上の区分))の定めにより大会社に区分される会社(同項の定めにより小会社に区分される会社(同項に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)が、評価会社の事業が卸売業に該当する場合には20億円以上、卸売業以外に該当する場合には15億円以上のものに限る。)を含む。)で、その有する各資産をこの通達の定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める土地等の価額の合計額の割合(以下「土地保有割合」という。)が70%以上である会社
ロ 178((取引相場のない株式の評価上の区分))の定めにより中会社に区分される会社(同項の定めにより小会社に区分される会社(同項に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)が、評価会社の事業が卸売業に該当する場合には7,000万円以上、小売・サービス業に該当する場合には4,000万円以上、卸売業、小売・サービス業以外に該当する場合には5,000万円以上で、上記イに該当しないものに限る。)を含む。)で、土地保有割合が90%以上である会社
(4) 開業後3年未満の会社等の株式
課税時期において次に掲げるイ又はロに該当する評価会社(次の(5)又は(6)に該当するものを除く。以下「開業後3年未満の会社等」という。)の株式の価額は、189-4((土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価))の定めによる。
イ 開業後3年未満であるもの
ロ 183((評価会社の1株当たりの配当金額等の計算))の(1)、(2)及び(3)に定める「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」のそれぞれの金額がいずれも0であるもの
(注) 配当金額及び利益金額については、直前期末以前2年間の実績を反映して判定することになるのであるから留意する。
(5) 開業前又は休業中の会社の株式
開業前又は休業中である評価会社の株式の価額は、189-5((開業前又は休業中の会社の株式の評価))の定めによる。
(6) 清算中の会社の株式
清算中である評価会社の株式の価額は、189-6((清算中の会社の株式の評価))の定めによる。
財産評価基本通達189−4(土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価)
189-4 189((特定の評価会社の株式))の(3)の「土地保有特定会社の株式」又は同項の(4)の「開業後3年未満の会社等の株式」の価額は、185((純資産価額))の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する。この場合における当該各株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)については、それぞれ、当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の合計数が土地保有特定会社又は開業後3年未満の会社等の185((純資産価額))のただし書に定める議決権総数の50%以下であるときは、上記により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を基に同項のただし書の定めにより計算した金額とする。
なお、当該各株式が188((同族株主以外の株主等が取得した株式))に定める同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合には、その株式の価額は、188-2((同族株主以外の株主等が取得した株式の評価))の本文の定めにより計算した金額(この金額が本項本文の定めによって評価するものとして計算した金額を超える場合には、本項本文の定めにより計算した金額)によって評価する。(平2直評12外追加、平12課評2-4外・平15課評2-15外改正)