合同会社のメリットと留意事項⑧-株式会社が合同会社に組織変更する場合の留意事項を見落としていないか?
Q株式会社から合同会社への組織変更を検討しています。留意事項はありますか?
A組織変更により株主は合同会社の社員となるため、総株主の同意が必要となります。社員となる者は定款への記載が必要となります。
解説
株式会社が合同会社となるためには、総株主の同意が必要となるとともに(会社法第776条第1項)、債権者保護手続きも必要です(会社法第779条)。組織変更後に社員とならない株主には、株式に代わる金銭等を交付することになります(会社法第744条第1項第5号6号)。株主への交付対価はみなし配当課税となる点には留意が必要です(所得税法第25条第1項第7号)。
会社法第776条(株式会社の組織変更計画の承認等)
組織変更をする株式会社は、効力発生日の前日までに、組織変更計画について当該株式会社の総株主の同意を得なければならない。
2 組織変更をする株式会社は、効力発生日の二十日前までに、その登録株式質権者及び登録新株予約権質権者に対し、組織変更をする旨を通知しなければならない。
3 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
会社法第779条(債権者の異議)
第七百七十九条 組織変更をする株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、組織変更について異議を述べることができる。
2 組織変更をする株式会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第三号の期間は、一箇月を下ることができない。
一 組織変更をする旨
二 組織変更をする株式会社の計算書類(第四百三十五条第二項に規定する計算書類をいう。以下この章において同じ。)に関する事項として法務省令で定めるもの
三 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3 前項の規定にかかわらず、組織変更をする株式会社が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
4 債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該組織変更について承認をしたものとみなす。
5 債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べたときは、組織変更をする株式会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該組織変更をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
会社法第743条(組織変更計画の作成)
会社は、組織変更をすることができる。この場合においては、組織変更計画を作成しなければならない。
会社法第744条(株式会社の組織変更計画)
株式会社が組織変更をする場合には、当該株式会社は、組織変更計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
株式会社が組織変更をする場合には、当該株式会社は、組織変更計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 組織変更後の持分会社(以下この編において「組織変更後持分会社」という。)が合名会社、合資会社又は合同会社のいずれであるかの別
二 組織変更後持分会社の目的、商号及び本店の所在地
三 組織変更後持分会社の社員についての次に掲げる事項
イ 当該社員の氏名又は名称及び住所
ロ 当該社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
ハ 当該社員の出資の価額
四 前二号に掲げるもののほか、組織変更後持分会社の定款で定める事項
五 組織変更後持分会社が組織変更に際して組織変更をする株式会社の株主に対してその株式に代わる金銭等(組織変更後持分会社の持分を除く。以下この号及び次号において同じ。)を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項
イ 当該金銭等が組織変更後持分会社の社債であるときは、当該社債の種類(第百七条第二項第二号ロに規定する社債の種類をいう。以下この編において同じ。)及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
ロ 当該金銭等が組織変更後持分会社の社債以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
六 前号に規定する場合には、組織変更をする株式会社の株主(組織変更をする株式会社を除く。)に対する同号の金銭等の割当てに関する事項
七 組織変更をする株式会社が新株予約権を発行しているときは、組織変更後持分会社が組織変更に際して当該新株予約権の新株予約権者に対して交付する当該新株予約権に代わる金銭の額又はその算定方法
八 前号に規定する場合には、組織変更をする株式会社の新株予約権の新株予約権者に対する同号の金銭の割当てに関する事項
九 組織変更がその効力を生ずる日(以下この章において「効力発生日」という。)
2 組織変更後持分会社が合名会社であるときは、前項第三号ロに掲げる事項として、その社員の全部を無限責任社員とする旨を定めなければならない。
3 組織変更後持分会社が合資会社であるときは、第一項第三号ロに掲げる事項として、その社員の一部を無限責任社員とし、その他の社員を有限責任社員とする旨を定めなければならない。
4 組織変更後持分会社が合同会社であるときは、第一項第三号ロに掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を定めなければならない。
会社法第745条(株式会社の組織変更の効力の発生等)
組織変更をする株式会社は、効力発生日に、持分会社となる。
2 組織変更をする株式会社は、効力発生日に、前条第一項第二号から第四号までに掲げる事項についての定めに従い、当該事項に係る定款の変更をしたものとみなす。
3 組織変更をする株式会社の株主は、効力発生日に、前条第一項第三号に掲げる事項についての定めに従い、組織変更後持分会社の社員となる。
4 前条第一項第五号イに掲げる事項についての定めがある場合には、組織変更をする株式会社の株主は、効力発生日に、同項第六号に掲げる事項についての定めに従い、同項第五号イの社債の社債権者となる。
5 組織変更をする株式会社の新株予約権は、効力発生日に、消滅する。
6 前各項の規定は、第七百七十九条の規定による手続が終了していない場合又は組織変更を中止した場合には、適用しない。
所得税法第25条(配当等とみなす金額)
法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この項において同じ。)の株主等が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(同条第十二号の十五に規定する適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額)の合計額が当該法人の同条第十六号に規定する資本金等の額又は同条第十七号の二に規定する連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、前条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配又は金銭の分配とみなす。
七 当該法人の組織変更(当該組織変更に際して当該組織変更をした当該法人の株式又は出資以外の資産を交付したものに限る。)
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