合同会社のメリットと留意事項⑩-合同会社持分の売却は課税売上割合の計算において、譲渡対価の全額が分母に加算される点を見落としていないか?

Q当社の100%子会社である合同会社持分を売却しますが、税額計算における留意点があれば教えていただけますか?

A消費税の課税売上割合の計算において、合同会社持分の譲渡対価の全額を分母に含める必要があるため、課税売上割合の低下に留意が必要です。

解説
合同会社持分は、消費税の非課税対象となる有価証券に類するものの範囲に含まれます(消費税法施行令第9条第1項第2号)。課税売上割合の計算において、株式の譲渡については「譲渡対価の5%」を非課税売上として分母に加算するだけですが、合同会社持分の譲渡については、「譲渡対価の全額」が分母に加算することになります(消費税法施行令第48条第5項)。これにより、課税売上割合が減少し、仕入税額控除の額が小さくなることで、消費税の納税額が増加する可能性がある点に留意が必要です。

消費税法施行令第9条(有価証券に類するものの範囲等)
法別表第一第二号に規定する有価証券に類するものとして政令で定めるものは、次に掲げるものとする。

一 金融商品取引法第二条第一項第一号から第十五号まで(定義)に掲げる有価証券及び同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十六号に掲げる有価証券の性質を有するものを除く。)に表示されるべき権利(これらの有価証券が発行されていないものに限る。)
二 合名会社、合資会社又は合同会社の社員の持分、法人税法第二条第七号(定義)に規定する協同組合等の組合員又は会員の持分その他法人の出資者の持分
三 株主又は投資主(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十六項(定義)に規定する投資主をいう。)となる権利、優先出資者(協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号)第十三条第一項(優先出資者となる時期等)の優先出資者をいう。)となる権利、特定社員(資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第五項(定義)に規定する特定社員をいう。)又は優先出資社員(同法第二十六条(社員)に規定する優先出資社員をいう。)となる権利その他法人の出資者となる権利
四 貸付金、預金、売掛金その他の金銭債権
2 法別表第一第二号に規定するゴルフ場その他の施設の利用に関する権利に係るものとして政令で定めるものは、ゴルフ場その他の施設の所有若しくは経営に係る法人の株式若しくは出資を所有すること又は当該法人に対し金銭の預託をすることが当該ゴルフ場その他の施設を一般の利用者に比して有利な条件で継続的に利用する権利を有する者となるための要件とされている場合における当該株式若しくは出資に係る有価証券(次条第三項第十一号において「ゴルフ場利用株式等」という。)又は当該預託に係る金銭債権とする。
3 法別表第一第二号に規定する支払手段から除かれる政令で定めるものは、収集品及び販売用の支払手段とする。
4 法別表第一第二号に規定する支払手段に類するものとして政令で定めるものは、資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第二条第五項(定義)に規定する暗号資産及び国際通貨基金協定第十五条に規定する特別引出権とする。

 

消費税法施行令第48条第5項(課税売上割合の計算方法)
5 事業者が法別表第一第二号に規定する有価証券(第九条第二項に規定するゴルフ場利用株式等を除く。)並びに同条第一項第一号及び第三号に掲げる権利(以下この項において「有価証券等」という。)の譲渡をした場合(当該譲渡が第二項第三号に掲げる現先取引債券等の譲渡又は第三項に規定する現先取引債券等の売戻しに該当する場合を除く。)又は同条第一項第四号に掲げる金銭債権(資産の譲渡等を行つた者が当該資産の譲渡等の対価として取得したものを除く。以下この項において同じ。)の譲渡をした場合には、当該譲渡に係る第一項第一号に規定する資産の譲渡等の対価の額は、当該有価証券等又は金銭債権の譲渡の対価の額の百分の五に相当する金額とする。

 

国税庁HP(非課税となる有価証券の範囲と課税売上割合の関係)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/17/09.htm