非上場会社の従業員持株会③-退会時に額面で買い取る持株会規約の有効性を最高裁の判例を確認せずに判断していないか?
Q従業員持株会の退会時には、額面で買い取ることが持株会規約で定められています。入会時よりも会社が成長していますが、持株会員から買取価格の上乗せを要求された場合でも、規約通りの価格で買い取れますか?
A買い取れます。
解説
平成7年4月25日最高裁判決で、退職時に額面で取締役会の指定する者に譲渡する旨の会社と従業員との間でされた合意の有効性が認めらています。従業員持株制度の趣旨・目的、原告らが同制度の趣旨内容を了解した上、株式を額面額で取得していることなどが考慮され、額面での買取は有効であると判示されています。
平成21年2月17日最高裁判決でも、持株会員が持株会から譲り受けた株式を個人的な理由で売却する必要が生じたときは、持株会が額面額でこれを買い戻す旨の従業員と持株会との間の合意は有効であると判示されています。
持株会規約による譲渡制限は、会社法における株式譲渡自由の原則に反しないことになります(会社法第127条)。
参考判例
平成7年4月25日最高裁
平成21年2月17日最高裁
会社法第127条(株式の譲渡)
株主は、その有する株式を譲渡することができる。