非上場株式の評価⑤-訴訟中の権利の価額を損害賠償請求額としていないか?
Q評価対象会社が工場に導入した新製造システムの不具合をめぐり、システム設計会社と裁判中です。損害賠償請求額は5億円ですが、満額認められるかはわかりません。裁判の先行きは不透明で、担当弁護士は勝てるかすらわからないと言っています。訴訟中の権利の価額をいくらで評価すればよいでしょうか?
A評価時点では金額記載はせず、判決の確定後に遡って修正する必要があるかどうかを検討します。
解説
損害賠償請求金額にかかる権利が会社資産だとしても、誰も金額を見積れない場合には、当該権利について評価のしようがありません。財産評価基本通達210に則って評価できるケースは、実務上想定されません。
財産評価基本通達210
訴訟中の権利の価額は、課税時期の現況により係争関係の真相を調査し、訴訟進行の状況をも参酌して原告と被告との主張を公平に判断して適正に評価する。