非上場会社の従業員持株会⑥-スピンオフ税制の非支配要件の判定においては、従業員持株会(任意組合方式)を一人株主としてカウントすることを見逃していないか?
Q当社は、事業部門を単独新設分割により切り出し、切り出された完全子会社の株式を直ちに当社の株主に分配する、いわゆるスピンオフ(単独新設分割型分割)を検討しています。このスピンオフが適格分割に該当するための非支配要件の判定上の留意事項を教えてください。
A従業員持株会(任意組合方式)、投資事業有限責任組合などは、一人株主とカウントして支配株主の判定を行います。
解説
スピンオフ(単独新設分割型分割)での税制適格判定における「非支配要件」の判定については、株主が契約している組合契約に係る他の組合員である者を含む」とされています(法人税法施行令第4条の3第9項)。他の組合員である者を含むということは、組合員の共有持分をまとめてカウントするということになり、一人株主として取り扱うことになります。
なお、適格株式分配の判定においても同様の取り扱いとなっています(法人税法施行令第4条の3第16項)。
9 法第二条第十二号の十一ニに規定する政令で定めるものは、分割型分割に該当する分割で単独新設分割であるもの(法第六十二条の六第一項に規定する分割を除く。)のうち、次に掲げる要件の全てに該当するものとする。
一 分割の直前に当該分割に係る分割法人と他の者(その者(その者が個人である場合には、その個人との間に第四条第一項(同族関係者の範囲)に規定する特殊の関係のある者を含む。イにおいて同じ。)が締結している民法第六百六十七条第一項(組合契約)に規定する組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第三条第一項(投資事業有限責任組合契約)に規定する投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年法律第四十号)第三条第一項(有限責任事業組合契約)に規定する有限責任事業組合契約並びに外国におけるこれらの契約に類する契約(以下この号において「組合契約」という。)並びに次に掲げる組合契約に係る他の組合員である者を含む。以下この号において同じ。)との間に当該他の者による支配関係がなく、かつ、当該分割後に当該分割に係る分割承継法人と他の者との間に当該他の者による支配関係があることとなることが見込まれていないこと。
関連記事
非上場会社の従業員持株会-適格株式交換を行う際の子法人株主数のカウントにおいて、従業員持株会(任意組合方式)を一人株主としてカウントしていないか?