非上場会社の従業員持株会⑧-従業員持株会で奨励金を支給する場合の源泉所得税、社会保険、労働保険の留意事項を見逃していないか?

Q従業員持株会を設立し、奨励金を支給しようと考えています。奨励金を支給する際に留意事項があれば教えてください。

A一時的な支給であれば、賞与として取扱い、源泉所得税、社会保険料を計算することになります(社会保険の対象とならない場合もあります)。

解説
従業員持株会において、株式購入資金として会社から従業員に支給される奨励金は給与所得となります。源泉所得税の計算基礎に含める必要がありますが、入会時の一時的な支給であれば、賞与として源泉徴収税額を計算することになる点に留意が必要です。奨励金が社会保険料の対象となる場合(※)にも、賞与として計算することとなります。

(※)社会保険(健康保険、厚生年金保険)の保険料の算定基礎となる報酬は、被保険者が労働の対価として会社から受けるもので、賃金、給料、俸給、手当、賞与等いかなる名称であっても、原則としてすべて報酬となります。奨励金についても労働の対価であるかを基準に判断することになり、賃金規程に記載されていれば報酬そのものであり、社会保険料の対象となります。一方で、従業員持株会への加入が被保険者の自由意思によるものであれば、原則として報酬として取り扱いません。ただし、加入が自由意思によるケースであっても、実態としてほとんどの被保険者が加入しているような場合には、奨励金が労働の対価として支給されるものと認められるとして、報酬として取り扱うことになります。なお、奨励金は労働保険(労災保険、雇用保険)の保険料の算定基礎にはなりません。

 

関連記事
非上場会社の従業員持株会-従業員持株会で奨励金を支給する場合に拠出金に対する比率を100%にできないと考えてないか?