個人税務での勘違い防止④-個人が外国子会社合算税制(CFC税制)の適用対象となった場合に、繰越欠損金に関する留意事項を見逃していないか?

Q居住者であるオーナーは、オランダ法人(100%保有)を通じて、日本所在の事業会社株式(オランダ法人100%保有)を保有しています。個人にも外国子会社合算税制の適用があると聞きましたが、合算課税の適用対象となった場合に、過去の欠損金の繰越にかかる留意事項を教えてください。

Aオランダ法人が特定外国子会社に該当している事業年度にかかる欠損金は、7年間繰り越すことができます。

解説
特定外国子会社に非該当の事業年度にかかる欠損金の繰越控除は認められませんが、特定外国子会社に該当後の事業年度にかかる欠損金は各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額を繰り越すことができます。
なお、欠損金の繰越控除を行った後に、なお合算課税の対象となる適用対象金額を有する確定申告年度において、過去の財務諸表等を併せて添付すれば、繰越控除の適用を受けられます。

 

租税特別措置法第40条の4第2項第4号

四 適用対象金額 特定外国関係会社又は対象外国関係会社の各事業年度の決算に基づく所得の金額につき法人税法及びこの法律による各事業年度の所得の金額の計算に準ずるものとして政令で定める基準により計算した金額(以下この号において「基準所得金額」という。)を基礎として、政令で定めるところにより、当該各事業年度開始の日前七年以内に開始した各事業年度において生じた欠損の金額及び当該基準所得金額に係る税額に関する調整を加えた金額をいう。

 

租税特別措置法施行令第25条の20第5項第1号
5 法第四十条の四第二項第四号に規定する欠損の金額及び基準所得金額に係る税額に関する調整を加えた金額は、外国関係会社の各事業年度の同号に規定する基準所得金額(第七項において「基準所得金額」という。)から次に掲げる金額の合計額を控除した残額とする。
一 当該外国関係会社の当該各事業年度開始の日前七年以内に開始した事業年度(昭和五十三年四月一日前に開始した事業年度、外国関係会社(法第六十六条の六第二項第二号又は第六十八条の九十第二項第二号に規定する特定外国関係会社及び法第六十六条の六第二項第三号又は第六十八条の九十第二項第三号に規定する対象外国関係会社を含む。)に該当しなかつた事業年度及び法第四十条の四第五項各号に掲げる外国関係会社の区分に応じ当該各号に定める場合に該当する事実があるときのその該当する事業年度(法第六十六条の六第五項各号に掲げる外国関係会社の区分に応じ当該各号に定める場合に該当する事実があるときのその該当する事業年度及び法第六十八条の九十第五項各号に掲げる外国関係会社の区分に応じ当該各号に定める場合に該当する事実があるときのその該当する事業年度を含む。)を除く。)において生じた欠損金額(この項の規定により当該各事業年度前の事業年度において控除されたものを除く。)の合計額に相当する金額
二 当該外国関係会社が当該各事業年度において納付をすることとなる法人所得税の額(法人所得税に関する法令に企業集団等所得課税規定がある場合の当該法人所得税にあつては第三十九条の十五第二項第八号に規定する個別計算納付法人所得税額とし、当該各事業年度において還付を受けることとなる法人所得税の額がある場合には当該還付を受けることとなる法人所得税の額(法人所得税に関する法令に企業集団等所得課税規定がある場合の当該法人所得税にあつては、同項第十五号に規定する個別計算還付法人所得税額)を控除した金額とする。)