個人税務での勘違い防止⑤-個人が外国子会社合算税制(CFC税制)の適用対象となった場合に、ペーパーカンパニーに該当するか不確定な場合の留意事項を見逃していないか?
Q居住者であるオーナーは、オランダ法人(100%保有)を通じて、日本所在の事業会社株式(オランダ法人100%保有)を保有しています。個人にも外国子会社合算税制の適用があると聞きましたが、ペーパーカンパニーに該当しなければ適用除外となることを聞きましたが、適用できるか不確定の場合の留意事項を教えてください。
A国税当局の職員がペーパーカンパニーでないことを明らかにする書類提出を求めた場合に、期限までに提出しない場合には、ペーパーカンパニーであると推定されます。
解説
ペーパーカンパニーとは、次の①及び②のいずれも満たさない外国関係会社となります(租税特別措置法第66条の6第2項第1号二)。
①実態基準:その主たる事業を行うに必要と認められる事務所等の固定施設を固定施設を有していること
②管理支配基準:その本店所在地国においてその事業の管理、支配及び運営を自ら行なっていること
当局から上記①及び②を充足する書類提出を求められ、期限までに提出できない場合には、ペーパーカンパニーと推定されてしまう点に留意が必要です(租税特別措置法第40条の4第3項)。
租税特別措置法第66条の6第2項第1号二
二 特定外国関係会社 次に掲げる外国関係会社をいう。
イ 次のいずれにも該当しない外国関係会社
(1) その主たる事業を行うに必要と認められる事務所、店舗、工場その他の固定施設を有している外国関係会社(これらを有している外国関係会社と同様の状況にあるものとして政令で定める外国関係会社を含む。)
(2) その本店又は主たる事務所の所在する国又は地域(以下この項、第六項及び第八項において「本店所在地国」という。)においてその事業の管理、支配及び運営を自ら行つている外国関係会社(これらを自ら行つている外国関係会社と同様の状況にあるものとして政令で定める外国関係会社を含む。)
租税特別措置法第40条の4第3項
3 国税庁の当該職員又は居住者の納税地の所轄税務署若しくは所轄国税局の当該職員は、居住者に係る外国関係会社が前項第二号イ(1)から(5)までのいずれかに該当するかどうかを判定するために必要があるときは、当該居住者に対し、期間を定めて、当該外国関係会社が同号イ(1)から(5)までに該当することを明らかにする書類その他の資料の提示又は提出を求めることができる。この場合において、当該書類その他の資料の提示又は提出がないときは、同項(同号イに係る部分に限る。)の規定の適用については、当該外国関係会社は同号イ(1)から(5)までに該当しないものと推定する。