非上場株式の公益財団への寄附⑩-措置法40条の否認事例を知らずに実務対応していないか?

Q上場会社の創業家は、当該上場株式の保有を個人から資産管理会社に移管しています。 また、創業家を中心として公益財団法人(公益的事業:奨学金事業)を設立しています。資産管理会社の主要株主となっている先代が、当該資産管理会社株式を寄附しますが、措置法40条の適用が否認された事例について教えていただけますか?

A寄附財産が、寄附があった日から2年を経過する日までに、法人の公益目的事業に直接供されていないとして否認された事例があります。

解説
措置法40条の主要な適用要件の一つに「寄附財産が、寄附があった日から2年を経過する日までに、法人の公益目的事業に直接供され又は供される見込みであること。」があります。平成25年9月12日の東京地裁判決では、寄附株式に係る配当金が寄附後2年以内に全額助成金として支給されているかの事実認定が行われた結果、その事実がなく、法人の公益事業の用に直接供されたということはできないと認定され、措置法40条の適用が否認された事例があります。その後寄附者は控訴しましたが、平成26年2月12日に東京高裁より控訴棄却の判決言渡があり、否認されています。

 

関連記事
非上場株式の公益財団への寄附-措置法40条の適用を受けた寄附株式にかかる配当金を財団の事務運営費に使用していないか?

非上場株式の公益財団への寄附-将来の相続時に措置法70条の適用を考える場合に、措置法40条の適用要件の充足まで見据えずに準備していないか?