個人税務での勘違い防止②-同一銘柄の株式の譲渡所得の計算において、部分的に概算取得費(5%)の適用はできない点を見逃していないか?
Q取得時期の異なる同一銘柄の株式を譲渡しましたが、取得費がわかるものとわからないものが混在しています。取得費がわかるものについては購入金額による取得費を適用し、取得費がわからないものについては概算取得費(5%)を適用して計算することはできますか?
A同一銘柄の株式について、部分的に概算取得費(5%)を適用することはできません。すべてを概算取得費(5%)で計算するか、取得費のわかるものを積み上げて、すべてを総平均法に準ずる方法で計算するかのいずれかを選択することになります。
なお、取得価額を合理的に算出するなどして更正の請求を行う場合には、概算取得費(5%)で申告していた場合には、更正の請求事由に該当しなくなるため、概算取得費(5%)を適用せずに申告しておく必要があることに留意が必要です。
租税特別措置法通達37の10・37の11共-13(株式等の取得価額)
株式等を譲渡した場合における事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費又は取得費に算入する金額は、所得税法第37条第1項《必要経費》、第38条第1項《譲渡所得の金額の計算上控除する取得費》、第48条《有価証券の譲渡原価等の計算及びその評価の方法》及び第61条《昭和27年12月31日以前に取得した資産の取得費等》の規定に基づいて計算した金額となるのであるが、譲渡をした同一銘柄の株式等について、当該株式等の譲渡による収入金額の100分の5に相当する金額を当該株式等の取得価額として事業所得の金額若しくは雑所得の金額を計算しているとき又は当該金額を譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費として計算しているときは、これを認めて差し支えないものとする。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)
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