分散した非上場株式の集約⑦-株式併合により株主のみなし配当課税を回避できる可能性を見逃していないか?

Q株式が分散しており、少数株主(個人)からの株式集約を考えています。発行会社(資本金等の額がマイナス)により買い取ることを検討していますが、留意事項はありますか?

A株主は株式の譲渡時に全額みなし配当課税となります。場合によっては、みなし配当課税が生じない株式併合によるスクイーズアウトの方が、譲渡側の個人株主にとって有利となる可能性があります。

解説
発行法人による自己株式の取得によると、資本金等の額を超える部分の金額について売主側にはみなし配当課税が生じます(所得税法第25条第1項第5号)。ただし、端数相当の株式処理に伴う対価の支払いはみなし配当課税の対象外となりますので、譲渡株主にとって株式併合によるスクイーズアウトの方が、税負担が少なくなる可能性があります(所得税法施行令第61条第1項第9号)。

 

所得税法第25条第1項第5号(配当等とみなす金額)

法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この項において同じ。)の株主等が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(同条第十二号の十五に規定する適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額)の合計額が当該法人の同条第十六号に規定する資本金等の額又は同条第十七号の二に規定する連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、前条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配又は金銭の分配とみなす。

五 当該法人の自己の株式又は出資の取得(金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得及び第五十七条の四第三項第一号から第三号まで(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)に掲げる株式又は出資の同項に規定する場合に該当する場合における取得を除く。)
所得税法施行令第61条第1項第9号(所有株式に対応する資本金等の額又は連結個別資本金等の額の計算方法等)
第六十一条 法第二十五条第一項第五号(配当等とみなす金額)に規定する政令で定める取得は、次に掲げる事由による取得とする。
九 会社法(平成十七年法律第八十六号)第百八十二条の四第一項(反対株主の株式買取請求)(資産の流動化に関する法律第三十八条(特定出資についての会社法の準用)又は第五十条第一項(優先出資についての会社法の準用)において準用する場合を含む。)、第百九十二条第一項(単元未満株式の買取りの請求)又は第二百三十四条第四項(一に満たない端数の処理)(会社法第二百三十五条第二項(一に満たない端数の処理)又は他の法律において準用する場合を含む。)の規定による買取り