税理士の独立への道⑯-独立しても一人ではできないことがある点を見逃していないか?

Q独立しても一人ではできないことがある点を教えてくれますか?

A 独立すると「提供できるサービスの最大値=自分の能力の限界値」となるため、自分に不足した能力によるサービスは提供できません。

解説

自己完結型の人

「自己完結」の意味は「自分一人で決着すること」です。

あの人は「自己完結型の人だ」と表現されるとき、「誰かに依存しない自立した人」というポジティブな意味を表す一方で、「独りよがりな人」というネガティブな意味が込められることもあります。

専門家は自己完結型の人が100%

税理士に限らず、専門家は皆「自己完結型の人」です。

「他人に左右されずに自分で判断したい」「自分一人で決着したい」といった自己完結型の人が、専門家を目指す傾向が強いと感じます。

「自分の裁量で仕事をしたい」と強く考えるタイプで、自分を律して継続的に根気よく勉強できた人が、試験合格を手にして専門家(士業)になります。

独りよがりな決着になっていないか?

自己完結型の人が最も陥りやすく危険なのが、自己満足にしかなっていない、独りよがりな決着です(間違いは誰にでもあります)。

独りよがりとは、自分が良いと考えていることを、他人がどう捉えるかを考慮せずに、押し通そうとすることをいいます。

税理士が独立した場合、自分以外の他者からのチェック、別の視点や意見が入らずに、クライアントにアドバイスをしたり、成果物を納品します。
セルフチェックのみで、税務申告書が税務署に提出されることもあります。

税理士として独立している人で、他人のアドバイスを求めていない人、専門家コミュニティーを築こうとしていない人、有用な情報の取得のためにお金を払っていない人、自分が1番正しいと過度の自信がある人は、独りよがりな決着になっている可能性が高いです。

提供できるサービスの最大値=自分の能力の限界値

提供できるサービスが、自分の能力の範囲内に必ず収まることになる点について、独立した税理士は自覚することが必要です。

自分の得意分野だけでなく、苦手分野も自力で対応する場合、自信を持って価値を提供できているといえるでしょうか?

専門分野の得意不得意に限らず、営業や人間関係の構築、事務管理など、仕事で必要となる能力全般に関して、すべて完璧にできる人はいません。

自分にないものを持っている人と働くから補い合える

自分の苦手なことであっても、誰かの得意なことかもしれません。
自分の持っていないものを、誰かが持っていることは多々あります。

組織が機能すると、それぞれが得意なことを分担した結果、苦手なことを補い合うことが可能です。

例えば、営業の得意な人、専門分野の知識に特化した人、マネジメントが上手な人、事務関係が得意な人。
それぞれが役割分担することで、自分の得意分野のみを活かしたサービス提供が可能となるケースがあります。

組織化すれば、成果物や税務申告書の相互チェックは当然のこととなり、複数の担当者による複数の視点からの考察が行われ、論点の網羅性も担保できます。

税制の最新情報の共有、担当案件の事例共有、使用した資料の共有など、一人では到達し得ない情報収集が可能となります。

信頼できる機能的な組織を経験すると、自分一人の貧弱さや、能力の限界をつくづく感じると思います。

アフリカの諺
「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」
(If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.)